ドイツのファームステイでライフワークを見つけた現役大学生の話。

大学に休学届を出し、自分でコーディネートした農業旅をご紹介

6/28 在庫の野菜が食べ放題?

こんばんは!itoです。

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在庫の野菜が食べ放題?

ニアが連れて行ってくれたのは、家の向かい側にある倉庫。

 

ここは作業場も兼ねていて、

部屋中央の大きな机を囲むかたちで

積み上げられたコンテナや収穫物の入った段ボール、

”りんご専用”と張り紙のされた保管庫や巨大な冷蔵庫など

所狭しと並んでいます。

「ここは収穫した野菜を袋詰めしたり

 集めた卵をサイズごとに分けたりする場所。

 ま、俺たちウーファーのほとんどは

 あっつい畑に出て作業する役回りよ。」

 

ニアはそう言うと、

向かって右端にある巨大な冷蔵庫の扉を開けました。

電気をつけて入り、お前も来いよ、と目で合図します。

 

入ると両側にはたくさんの野菜や果物が保管されていました。

レタスなどの葉野菜に、緑と黄色のズッキーニ、

赤や黄色のパプリカに、見たこともない太さのネギ…。

あんずやぶどう、アボカドやレモンもあります。

 

「ここの食材はいつでも使い放題。

 朝食はいつもウリの家でみんなで集まって摂って、

 お昼はうちの農場の野菜を卸している社員食堂で食べる。

 夜は基本的に各自って感じだから

 おなかが減ったらここから食材を取りな。」

「え、ほんとにこれ何でも使っていいの?勝手に?」

「おう。ただし、こうしてタグがセットされてる箱のはダメ。

 お客さんの注文品だからね。」

 

ニアはズッキーニを手にとり

感心しながら庫内を見回していたわたしに

「ところでito、お腹へってる?」と聞きました。

 

「んー。移動中にお昼ごはんは済ましたからまあまあかな。」

と曖昧に返すと、

「どうせすぐ減るよ、なんか作ろうぜ。

 適当に材料見繕って。itoが食べたいやつ。」と言い

自分でもいくつかの食材を選んで手に持ちました。

 

 

 

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6/28 ルームメイトと、農場の案内人

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ルームメイトと、農場の案内人

住人の紹介が終わり、ウリが家を出て行くと

「itoは私とルームメイトよ。あなたさえ良ければ♪」

と微笑みかけてくれるアドリアーナに連れられ、

壁に草がペイントされた10畳ほどの部屋を案内されました。

 

部屋には暖色系で揃えられたベッドが2つに

光の差し込む出窓と、

観葉植物が置かれたサイドテーブルに

デスクセットがひとつ。

「itoはこっちのベッドね。」と指された右側のベッドの上には

畳まれたシーツ類とバスタオル、フェイスタオルが置かれています。

 

「ありがとう。素敵な部屋だね。

 これからよろしくね。」

「こちらこそ!ルームメイトができて嬉しい。

 ゆっくり荷解きしてね。」

 

軽く言葉を交わしたあと、わたしはさっそく荷解きを始めました。

…とは言っても荷物はスーツケース1つのみ。

すぐに終わってしまい、手持ち無沙汰になったわたしは

恐る恐るリビングに下りていきます。

 

するとそこにいたのは、机に足を乗せ

自分のiPhoneを繋げたスピーカーから音楽を流して

リラックスしている様子のニア。

目があうと、

「案内するからついてこいよ。」と席を立ちました。

 

 

 

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6/28 フラットメイトの5人とご対面

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ウーファー仲間、フラットメイトの5人とご対面

「ここがあなたの生活する家よ。」

ウリは”オイレンホフ”と書かれた看板の角を右に折れ、

トラック3台が入るほどの倉庫と向かい合って立つ

1軒の家の前で車を停めました。

 

「今家にいるのは誰かしら、紹介するから入って。」

ウリに促されたわたしは、ロードバイクを傍らに停め

ハロー?と大きな声で呼びかけながら家に入る彼女の後を追います。

 

まず目に飛び込んだのが、

キッチンから出てきた上半身裸の金髪男性。

柔らかく微笑み、紳士的な声で

「はじめまして。君がito?

 僕はルーカス。アメリカから来てるんだ。」

と簡潔に自己紹介。

「ルーカスはあなたと同じ大学生よ。20歳ね。」

ウリが横から補足してくれます。

これで一つ下…おそるべしアメリカンボーイ…

 

リビングルームに入ると、

クリンとした黒髪の癖っ毛をひとつにまとめ

レモンを浮かべた透明のタンブラーを片手に

iPadを操作する健康的な女性の姿が。

「Oh~ Hello!私はアドリアーナ!

 メキシコから来たわ。よろしくねito!」

 

人懐こい笑顔と愛想のいいあいさつに

わたしの緊張もいくらかほぐれ、

朗らかにお互いの自己紹介をしていると

リビングルームにもう一人男性が入ってきました。

 

深い彫りに大きな目、

中肉中背のアラブ系男性を縦に引き伸ばしたような見た目の彼は

ニコリと口角を上げると

「俺はニア。イスラエル出身。itoだね?よろしく。」とひとこと。

そのあとはウリに何かを指摘され、

まあまあ。だって○○だぜ?、と

のらりくらりと冗談を交えて会話をする彼と

少し呆れた仕草で微笑みながらそれを聞くウリに

なんだかここでちゃんとやっていけそうだな、と感じたのでした。

 

「で、ミヒャエルはバルコニーかしら?」

つぶやきながら外に出るウリに続き、

わたしたちもバルコニーへ。

 

そこにいたのは 

ハンモックに揺られてのんびりと目をつぶっている

柔らかい金の巻き毛をした男性でした。

「おはよう、ミヒャエル~」と近づくウリと私たちに気付くと

柔らかい金の巻き毛をしたその男性は目をあけて体を起こし、

名前と見た目に違和感のない柔らかな物腰と微笑みで

「Hi、僕はミヒャエル。オーストリア出身だよ。

 itoはドイツ語も話せるの?」と、

よく見ると好奇心の強そうな目でわたしに問いかけました。

 

「Hi、ミヒャエル。私の名前はito。日本から来ました。

 語学学校では英語とドイツ語を勉強していたよ、

 3ヶ月だけだけどね。」と答えると

「ならいつでもドイツ語教えるよ♪よろしくね。」

とミヒャエル。

 

「このメンバーの中で、ドイツ語を話せるのは

 ミヒャエルとルーカスの2人よ。

 ミヒャエルは母国語、ルーカスは勉強中。

 アドリアーナとニアは英語だから

 この家の公用語は今のところ英語ね。

 ドイツ語の先生も出来たし、良かったわねito。」

とウリが微笑みかけてくれました。

 

「あ、そうそう。そしてこの家のことについて何かあれば

 彼女に聞いてね。一番居住暦が長いから。」

と最後に眼鏡をかけた聡明そうな女性を紹介してくれました。

 

「こんにちは、ito。私の名前はソフィア。

 私はWWOOFじゃなくて、学校のプログラムでここにいるの。

 ドイツ人よ。よろしくね。」

 

 

一通りの自己紹介を終えると

「じゃあ皆、あとはよろしくね。明日からまた仕事よ。いい一日を。」

と、ウリはご主人と住む自分の家へ帰っていきました。

 

 

 

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6/28 ふくろう農場に到着

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ドイツ1件目の農家、オイレンホフに到着。

オイレン(Eulen)=ふくろう

ホフ(hof)=農場

ドイツファームステイの記念すべき1件目はふくろう農場です。

 

1ヶ月ほど前から農場主とメールでのやり取りを重ね、

滞在期間や持込手荷物の量、当日の移動手段をすり合わせて

6月28日の午後、農場の最寄り駅で待ち合わせ。

 

ホームに降りると、待っていたのは

テキパキとした文面から受けていた想像通りの

長身で小顔、ショートカットがよく似合う女性でした。

体の線は細いものの、華奢ではなく活発な印象の彼女。

目の奥に力があり、マダム、いや魔女っぽい雰囲気です。

 

「私の名前はウリ。あなたは初めての日本人ウーファー(※)よ。

これからよろしくね。」

(※ウーファー:WWOOF利用者のうちファームステイを希望する側の人。

 一方、ファームステイを受け入れる側の人はホストと呼ばれる)

 

明るくて良い人そうで一安心。

 

「駅から農場までは5分もかからないから。

 後ろからついて来られるわね?」

そう言うとウリはさっそく車に私の荷物を載せ、

運転席に座ってエンジンをかけました。

ロードバイクを持参していたわたしは

彼女の運転する車の後ろについて農場を目指しました。

 

 

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ドイツファームステイの流れ

ドイツにはワーホリビザで入国、滞在期間は6ヶ月

私の場合、語学留学ではなく完全な私費留学だったため

ビザは自由度の高いワーキングホリデービザを取得しました。

(ドイツのワーホリビザの発行はかなり早く、2~3日でできました)

 

当初は大学休学期間のまるまる1年をドイツで過ごす予定でしたが

途中で急遽日本に帰国することになります。

理由は追って書いていきますね。

親戚の危篤だったので、とかそういう類ではありません。笑

 

 

ドイツ生活前半の3ヶ月間は学校で英語とドイツ語を学ぶ

英語は義務教育の範囲内でしか触れてこなかったし、

ドイツ語にいたっては「難しくて単位落としそう…」

とつぶやく友達によってその存在を認識した私にとって

渡独後最初にすることが語学学校での勉強、というのは自然な流れでした。

 

出発の1ヶ月前にドイツ語の参考書を買い、独学で勉強を始めますが

まあ身にならず…。

当時勉強と平行して行っていたWWOOFサイトでのホスト探しでも

「ここ(農場)は語学学校じゃないのよ。」と鋭いご指摘をもらい、

素直に英語とドイツ語が学べる語学学校を手配したのでした。笑

 

現地では午前中にドイツ語、午後に英語の授業を受ける日々。

エージェント探しから学生寮の手配までを全て自分で行ったので

語学学校時代のことにもいつか触れられたらなと思います。

 

ドイツ生活後半の3ヶ月間でお世話になった農家は2件

「こんなに付け焼刃な語学習得で大丈夫だろうか…」と不安を抱えながらも、

3ヶ月間の語学学校生活を終えた私は、早速アポを取っていた農家へ向かいます。

当初のスケジュールは、

農家1件目(ドイツ南西部) 4週間

農家2件目(ドイツ南東部) 4週間

農家3件目(ドイツ南部)  4週間

と、それぞれ1ヶ月ずつの滞在を予定していましたが、

かくかくしかじかで結局お世話になったのは1件目と3件目の二ヶ所です。

1件目に8週間、3件目に4週間滞在していました。

 

 

”農業”をテーマにした休学の1年間

私が大学を休学した1年間をまとめると下記のようになります。

 

4~10月 ドイツ(半分は語学学校、半分はファームステイ)

10~3月 日本(北海道、和歌山で国内ファームステイのち東京でインターン

 

全て農業に関わる場所でした。

ちなみに「農業と食」をライフワークにしよう、と決意したのは

7月のドイツ、”日本サウナ村”と名づけられたスパ施設で夕日を眺めていたときです。

 

 

 

 

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このブログは農業とか留学とか海外ファームステイとかに反応した人に贈る日記形式の体験談です

はじめまして!itoです。

本記事ではざっくりとしたこのブログの説明をします。

 

1、誰に向けたブログなの?

・海外生活に興味はあるけど、語学の習得だけを目的に行くのはもったいない

・最近ほんのりと農業に興味があって…

・費用を抑えて国をまたぐ旅がしたい!

・ヨーロッパでのファームステイを考えているけどなかなか情報がない

 

そんな人たちに、私のドイツでのファームステイ経験を日記形式でお伝えします。

 

2.中の人はどんな人?

とある日本の島国に住む理系女子大生です。

最近は卒論を書き上げるため、自宅と大学を往復する日々。

 

ついこのあいだまで「農業と食」をキーワードに国内で就職活動をしていました。

倍率約70倍のベンチャー企業に無事内定をもらい、春からは東京暮らしです。

 

 

大学に休学届を出し、ドイツでファームステイをすると決意した2年前

情報収集に苦労したことを思い出し、部屋の本棚から渡独中につけていた日記を引っ張り出してきました。

本ブログでは、自分の時間を少し巻き戻して、そのときのそのままのことを書いていきます。

 

 

当時の私と同じ状況の人に、少しでもお役に立てますように…。

 

 

 

2016年11月18日 ito

6/29 お昼休憩

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お昼休憩

お昼を終えて家に帰ると、時刻は午後2時。

あと1時間もある…

 

バタリと自分のベッドに飛び込んで

充電器に繋ぎっぱなしだったiPhoneを手に取り

溜まっていた日本からのメッセージを確認していると

知らず知らずのうちに眠ってしまいました。

 

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ガサガサという物音で目を覚ますと

少し開いたドアの先に

服を着替えているニアとルーカスが見えます。

 

わたしとアドリアーナの部屋のすぐ隣には

ニアとルーカスの部屋があり、

ドアを出たすぐのところにある

12畳ほどのスペースには

各自の作業服や洗濯物が干されているのでした。

 

3時5分前をさす時計を確認し、

わたしもすぐに作業着へと着替えます。

「おはようito。」

「おはよう」

「おはよう」

着替えている二人と挨拶を交わすと

階段を降り、玄関へと向かいました。

 

 

 

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