ドイツのファームステイでライフワークを見つけた現役大学生の話。

大学に休学届を出し、自分でコーディネートした農業旅をご紹介

7/1 じりじりの太陽としあわせのソラマメ

こんばんは!itoです。

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じりじりの太陽としあわせのソラマメ

熱気のこもるビニールハウスで

小一時間ほどトマトの芽と格闘したあとは

外に出てさやえんどう畑へと向かいました。

 

といっても今の時期の作業は

さやえんどうの収穫ではなく畑の整備です。

 

だんだんと直角に近づく太陽からの熱を

頭と背中で辛抱強く受け止めながら

栽培に使われていた支柱とネットを

外す作業に取り掛かります。

 

土深くに突き刺さっている

長さ1mほどの杭を引っこ抜き、

さやえんどうに便乗して

ネットに絡みついていた雑草を引き離す。

その一連の作業を畑の端で折り返しながら

100mほどにわたって続けました。

 

はずし終わったネットを畑の端から丸めて転がし

最後にはえいやっと皆の体全体で

道路側の空いたスペースに追いやり終了です。

 

ふー…と額の汗をぬぐったら

午前中最後の仕上げ、玉ねぎを詰めに

ウリの家の隣のスペースへと向かいました。

 

ビニールシートが一面に敷かれたハウスで

乾燥を待ちながら

雑魚寝をしている玉ねぎたちを集め

いわれた分量のキステに詰め終えると

袋詰め作業の行われる倉庫に運びます。

 

「…おひるごはーん!!」

すっきりと晴れた空に両腕を突き上げ

体全体を上方へと引き伸ばしながら

アドリアーナが叫びます。

 

彼女につづいてわたしも同じ言葉を唱え

そそくさと着替えを済ませると

食堂へと向かいました。

 

いつものサラダバーには

昨日みんなで皮を剝いて選別したソラマメが並び

それが空腹のおなかに染みるようにおいしく、

いつものごとく

豊かな食卓に幸せをかみ締めるのでした。

 

 

 

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7/1 キュウリの収穫とトマトの脇芽取り

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キュウリの収穫とトマトの脇芽取り

まずはキュウリを栽培している

ビニールハウスへと向かいます。

 

一口にきゅうりと言っても

日本のスーパーで目にするものはなく

長さが30cmにまでなるものから

10cmほどのピクルス用のものまで

4種類ほどの品種が栽培されていました。

 

長さの基準となる棒を片手に

収穫するきゅうりの担当を決め

アドリアーナ、ルーカス、ニアとわたしの

4人でてきぱきと進めていきます。

「ミヒャエルは?」

わたしが尋ねると、

キュウリの蔦の合間を縫って

「研修生チームの助っ人中」

アドリアーナの声が届きました。

 

20分ほどでハウス内のキュウリ

全ての収穫を終えると

一旦収穫物を入れたキステを保管庫へ運び

隣のトマトが栽培されている

ビニールハウスへと移動しました。

 

「芽かき、したことある?」

ここでの滞在期間が一番長いニアが

わたしに問いかけます。

「?ない。」

英語だけど聞きなれない単語に、

わからないという顔で返しました。

 

「ここに芽がある。てっぺんね。

 でもここにも芽がある。」

彼はそういってトマトの頂上を確認すると

2段ほど離れてついている葉の付け根を指します。

 

あ、芽のことを言ってるんだ。

わたしは神妙にうなずきながら

続く説明を待ちます。

 

「こっちの芽は伸ばさなくていい。

 栄養が分散するし、

 いずれ株同士が絡まる原因にもなる。」

ニアはそう言いながら

2段目の芽を根元から少しねじるようにして

摘みとりました。

 

「なるほど、こういうのだね。」

わたしは隣の株の芽を示しました。

 

「ちがう。

 よく見ろよ?

 …こっちはてっぺんの芽が潰れてる。

 ここからはもう伸びていかない。

 だから2段目のそいつを代わりに

 伸ばしていかないといけない。

 摘むなよ、それ。」

いつになく真剣な面持ちで指摘が入ります。

 

「じゃあ、これだね…?」

その芽のさらに下の段に芽を見つけたわたしは

おそるおそる確認をとります。

「そう。」

すでに自分の作業に入っていたニアは

横目でちらっとこちらを確認し

そっけなく答えました。

「その株、まだあるぜ。」

 

ふむ…

難しいなこれ。

 

 

慣れるまではかなり慎重に

株のひとつひとつを点検し

時間をかけて芽を取捨選択していきます。

 

トマトの脇芽取り。

やがてわたしがこの農場で

もっとも好きな作業の1つになるのでした。

 

 

 

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7/1 本格的に始まったドイツの夏

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本格的に始まったドイツの夏

今日から7月。

ドイツの夏は、

強い日差しなのに

べったりと服が体にはりつくことのない

かつて一度経験した

北海道を思い出させるような気候です。

 

家のまわりの空気が

まだひんやりと夜の気配を残す朝7時、

身支度を整えたみんなが玄関に集まってきました。

 

赤い車に乗ってズッキーニ畑へと向かいます。

 

朝露に軍手と靴、

ワークウェアの足首のあたりを濡らしながら

葉や茎の棘をよけつつ

緑や黄色、細長いものや丸いもの

それぞれが担当した畝の

ズッキーニを収穫します。

 

8時20分ごろ

朝の収穫を終えたわたしたちは

その足でウリの家に向かい

ひとつのテーブルを10人ほどで囲んで

新鮮なくだものに挽きたてのシリアル、

有機栽培のナッツやヨーグルトを口に運び

淹れたてのコーヒーもしくは紅茶を片手に

今日このあとの作業について

マルクスから指示を受けました。

 

「このあとはキュウリの収穫、

 そしてトマトの芽を処理する。

 外のさやえんどう畑のネットも取らんとな。

 最後に玉ねぎを詰めて午前中はおわり!」

 

てきぱきとした口調も

だいぶ耳になじみ

全てとは言えないまでも

彼のドイツ語はわたしの頭に入ってきます。

 

さあ、今日も働くぞ!

 

気合を入れて玄関を出ました。

 

 

 

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6/30 日本を代表する最近のJ-POPは?

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日本を代表する最近のJ-POPは?

心からの感謝で

自分のいやなことを率先してできたのって

よく考えたら久しぶりだな~

 

そんなことを思いながら

食器に泡立ったスポンジを滑らせていると

「ito、いいよそんなの!

 それより今から焚き火だから

 外に出てきて!」

下げた食器をキッチンに置きながら

アドリアーナが誘ってくれます。

 

バルコニーに出ると

ちょっとしたイルミネーションに

キャンドルと焚き火の優しい炎、

そこにギターの音色が合わさり

 

こんなにもおしゃれなシチュエーションを

こんなにも自然に作れるのか…

 

と半ば呆然としてしまいました。

骨格のはっきりとしたみんなの輪郭が

色々な角度からの炎に照らされ

幻想的な彫りやシルエットを作っています。

 

「じゃあ~

 カラオケでもしようか!」

相変わらず天使のような微笑みで

提案をしたのはミヒャエルでした。

 

カラオケという耳馴染みのある単語に

ドイツでもカラオケはカラオケなんだ、

と、日本の文化を改めて捉えなおします。

 

どこからともなく出てきたiPad

youtubeを開き、

世界的にも名の知れた名曲を選ぶと

焚き火を囲んで

みんなの合唱が始まりました。

どちらかというと音楽に疎いわたしも

メロディーに聞き覚えのある歌では

合唱に参加したり

小さくハミングしていました。

 

「itoの番だよ。

 最近流行っている日本の歌を紹介してよ♪」

 

いつのまにか

じゅんぐりとまわっていた選曲係は

わたしの番まで来ていました。

 

最近流行ってる日本の曲…!?

J-POPってことかい…!?

何も浮かばない…

 

とっさの振りにしどろもどろになりながら

”日本 有名 曲”などと画面の検索窓に入れて

しばらくスクロールします。

 

こ、これでいいか…

 

選んだのは伊藤由奈のprecious。

 


伊藤由奈 「Precious」

 

歌詞を全部覚えていたわけではなかったけど

おそるおそる自分でも口ずさみます。

 

「…ito?」

 

ニアが自分のiPhoneを見つめながら

内臓の聴き取りアプリの結果に表示された

歌手の名字を発音します。

 

「そう。ito yunaって言うんだよ。」

 

 

そこから彼がわたしを呼ぶときの名は

ito(イト)になったのでした。

 

 

 

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6/30 シンプルおいしい畑のサラダ

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シンプルおいしい畑のサラダ

「おまたせ~!」

お化粧講座が終わり、せっかくの完成顔を

もとの平凡なアジアンフェイスに戻すと

階下に向かい晩ごはんの支度を手伝いました。

 

「今日はバルコニーで食べよう♪」

ソフィアが運んで、

というふうに重なりあった平皿を

こちらに寄越します。

 

「わお、いいアイデアだね!」

素直に受け取って

バルコニーに出ると、

昼間には気付かなかった電飾が

細かな黄色い点で出迎えてくれました。

やや年季の入った木のテーブルの上には

手作りらしいキャンドルが3つ

各々でリズムを刻むかのように

炎を揺らしています。

 

素敵…

 

こころがふわっと浮いた気持ちになりながら

お皿を人数分に広げて

サラダの盛られた大きな木のボウルを

真ん中に置きました。

そのとなりには蒸かしたじゃがいもや

ハーブの効いたスープが並んでいます。

 

「いただきます!」

 

アップルビネガーと塩、

オリーブオイルで和えただけの

シンプルなサラダは

瑞々しい野菜の風味が際立ち

口いっぱいにほおばると

気持ちまで健康になる気がしました。

 

おいしいって

引き算でも成り立つんだ、

素材がおいしいと

シンプルな調理で十分なんだ。

 

いまさらながらそんなことを考えます。

 

 

食後は、

晩ごはんを用意してくれた感謝の気持ちで

「洗い物は任して!」

 

自分から後片付けを申し出ました。

 

 

 

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6/30 イスラエル人男性のメイクアップ講座

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イスラエル人男性のメイクアップ講座

「おなかすいたー!」

ライン川の砂浜のうえで、

誰にともなく意思表示してみました。

 

みんなは

水浴びで冷えた体を日光で温めたり

濡れた髪をタオルでふき取っています。

 

そろそろ帰ろうか、

という雰囲気を察知して

アドリアーナと協力し

シートを畳んで帰り支度を整え

みんなを待ちました。

 

少し落ちかけた太陽を横目に

帰路に着くと

各々が家の各部屋へと散っていきます。

 

手持ち無沙汰にうろうろしていると

「化粧してあげるよ。」

ニアがいいました。

「はん?あなたが化粧?できるの?」

驚きと挑発を含んだ調子で聞き返すと

「これでもイスラエルでは

 化粧品メーカーの営業マンだったんだ。」

と意外な返事。

 

「…ほう。」

ためしにわたしが普段から使っている

手持ちの道具を使って

イスラエル流化粧をしてもらうことにしました。

 

「ブラシが壊れちゃってからは

 指でアイシャドーを塗ってるんだ。」

普段のずぼらメイクを告白すると

彼は遠慮なく眉をしかめます。

髪をオールバックにして

されるがままになっているスッピンのわたしを

ルーカスが横から興味深く観察しています。

 

「ito~!ごはんできt…

 取り込み中だね。笑

 終わったら降りてきな。」

砂浜での意思表示を覚えていてくれたのか

途中でソフィアが呼びに来てくれました。

「ありがとうソフィア!

 顔の半分だけやってもらうから

 終わったら行くね!」

口だけを動かして答えます。

 

「…完成。」

チークのトーンが肌の色と合ってない、とか

普段の眉のアーチは小さすぎる、とか

辛口のコメントを差し込みながら

15分ほどで完成された顔半分。

鏡を見てみると

想像よりも数倍、というか

普通に日本でも通用する(失礼)

仕上がりに驚きを隠せませんでした。

「すごいじゃんニア!いい。

 また今度ちゃんとお出かけするときに

 全体をやってよ!」

少し興奮気味に伝えると

「えー。まあそのうちね。」

飽きたのか適当にあしらわれたのでした。

 

 

 

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6/30 農作業のふりかえり@ライン川

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農作業のふりかえり@ライン川

砂浜に自転車を止め、

シートを敷いて荷物を置き

早速水着姿になると

我先に、とみんなはどんどん川に入っていきます。

 

わたしも後に続き

川へと走りました。

川の水はとっても冷たく、

作業でほてった体を気持ちよく冷やします。

 

しばらく水中でじゃれた後は

砂浜のシートへ戻り

サングラスをかけて寝転びました。

しばらくすると、

遊び飽きたルーカスとニアも

シートへと引き上げてきて

隣に横たわり、寝息を立て始めました。

 

 

ドイツの夏って普通に暑いな。

特にトマトハウスの中。ばてそうになるもん。

でも今一番きつい仕事は

たまねぎ畑の雑草取りかな。

炎天下のなか

ひたすらもくもくと雑草を抜くんだもん。

逆に今一番好きな作業は

ズッキーニの収穫だな!

棘があるから痛いけど、あの

スッと切れるのが快感なんだよねえ…。

あとは卵集め。

鶏ってもっと家畜っぽくてうるさくて

においがきついイメージがあったけど

実際は愛嬌があって可愛く感じるし

そこまで汚いわけじゃなかったや。

 

・・・

サングラス越しに

木漏れ日の動きを目で追いながら

ぼんやりと

ふくろう農場での作業を振り返っていました。

 

 

 

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