6/29 農場長のマルクス
こんばんは!itoです。
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農場長のマルクス
ウリの家に着くと、
みんなは自転車をガレージに停め
玄関でワークブーツを脱いで
せかせかと奥に消えていきます。
わたしは初めて見るウリの家の
蔦の絡まる淡い黄色い壁に少し見とれてから
玄関に向かいました。
土のついたワークブーツが
ずらりと並ぶなか
なんとか自分の場所を確保して
靴を脱ぎ廊下を進みます。
リビングルームのドアを開けると
そこはまるで小さなレストランの厨房のように
たくさんの人がそれぞれ無駄のない身のこなしで
自分の朝ごはんをこしらえているところでした。
と、
栗色の短髪に少年のような目で
大きな口を少し開き
微笑みをたたえる男性と目が合います。
「やーあ、ito。おはよう。
会えるのを楽しみにしていたよ。」
おじいちゃん、と呼ぶには
到底ふさわしくない快活な話しぶりと動作で
彼はわたしの方へ歩み寄り、手を差し出しました。
「わたしはマルクス。ここの農場長さ。」