ドイツのファームステイでライフワークを見つけた現役大学生の話。

大学に休学届を出し、自分でコーディネートした農業旅をご紹介

6/29 ひたすら豆収穫の午前が終了

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ひたすら豆収穫の午前が終了

「ランチターイム!!!!」

ビニールハウスの入り口から

大きな声でお昼ごはんの時間を知らせてくれたのは

ソフィアでした。

 

ミヒャエルによるドイツ語講座もひと段落し、

さやえんどうの収穫に夢中になっていたわたしは手を止め

周りのメンバーの様子を伺います。

 

収穫物を入れたキステを携え、

やれやれ、やっとお昼だ!といわんばかりの背中は

ハウス入り口に集まっていきます。

わたしもキステを持ってみんなのもとへ向かいました。

 

勝手を知ったみんなは

それぞれが収穫した豆を種類ごとにまとめ、

キャスターつきの大きな荷台に載せると

それを押しながら倉庫と家のほうへ歩き出しました。

 

 

倉庫にある保管庫の前に着くと、

いつのまにか先回りしていたアドリアーナが

今日の日付が書かれたタグを

キステひとつひとつに差し込んでいきます。

 

全てにタグを付け終えると

さやえんどうたちは荷台ごと保管庫に収納されました。

 

 

「さて、お昼ごはんだ。」

ルーカスが言い、続けてアドリアーナが

「お昼は近くの会社の社員食堂で食べるの。

 泥の付いたこの格好で入るわけにはいかないから

 一旦家に帰ってキレイな服に着替えるのよ。」

と説明してくれました。

 

ミヒャエルとニアは先に玄関へと向かっています。

 

 

 

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6/29 えんどうの収穫とドイツ語教室

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えんどうの収穫とドイツ語教室

畑での作業は

ウーファーチーム

・ウリ&研修生チーム

マルクス&アンドレアチーム

の主に3つに分かれて行います。

 

アドリアーナ、ニア、ルーカス、ミヒャエル、わたしのウーファーチームは、さやえんどうが栽培されているハウスへと向かいました。

 

ハウスに入ると

天井に張られたワイヤーに絡まるようにして

緑のカーテンが大きく2列並んでいます。

 

「左の列は手前から

 緑の平べったいもの、黄色、紫だ。

 右は全部が緑の丸みがあるほう。

 最初はわかりやすい紫からやりな。」

ニアはそう言うと

キステと呼ばれる収穫箱を2つ寄越しました。

 

 

採集コンテナ(緑)メッシュ6個 約520(横)*約365(縦)*約305(高さ)

 

 

「ito~。俺反対側やってるね。

 高いところ届かないでしょ?

 キステを重ねて台にするといいよ。」

ミヒャエルが列の反対側から

緑のカーテンを押しのけてひょっこりと顔を出します。

 

「なるほど。ありがと!

 このサイズは収穫して大丈夫?」

そうたずねると

「ほい。これがミニマムサイズ。

 これより大きいのを収穫して。

 また判断に迷ったら聞いてくれたらいいよ♪」

と手のひらの直径ほどのボーネンを手渡してくれました。

 

 

「それにしても3ヶ月の語学学校生活で

 そこまでドイツ語話せるってすごいね~。

 日本ではほとんど勉強してなかったんでしょ?

 itoのドイツ語うまいよ。」

「いやいやそんな!

 でもやっぱり語学は机の上で学ぶより

 追い込まれた環境に飛び込むと

 習得のスピードは上がると思う。

 文法とか細かい活用はカバーできないけどね。」

「たしかに。ドイツ語は特にその辺細かいよね。

 ドイツ人でも間違うよ。笑」

「え、ほんと?」

「うんうん。」

 

さやえんどうの収穫に手を動かしながら、

わたしたちはドイツ語の難しさについて

日本のこと、彼の出身地であるオーストリアのことを

話しました。

 

もちろんかなりの頻度で

わからない単語が出てくるので、

その都度わたしは「それどういう意味?」

「この英語はドイツ語だとなんていうの?」

と聞き倒し、

半ば強制的なドイツ語教室を

ミヒャエルに開いてもらったのでした。

 

 

 

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6/29 「今日の作業はボーネンの収穫だ」

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「今日の作業はボーネンの収穫だ」

「みんな、あらためて紹介するわね!

 こちらはito。日本からやってきたのよ。

 英語もドイツ語も話せるわ。

 今日から4週間ともに働くのよ。」

ウリが私についてそう述べると、

「わお、日本から!よろしくね!」と

ソフィアと同じ研修生仲間のリディア、

雇われて働いているアンドレアが

にっこりとこちらを見ました。

 

やば、名前覚えるの大変だ…

 

わたしはヨーグルトとフルーツののったシリアルを口に運びながら、じゅんぐりとテーブルに向かうみんなの顔を見回しました。

 

少年のようなパワフルさを感じる農場長のマルクス

魔女のようでいて快活な少女にも見える奥さんのウリ。

ウーファー仲間でハウスメイトの

ニア、ルーカス、アドリアーナ、ミヒャエルに

研修生のソフィアとリディア、

マリオをもう少し紳士にしたような風貌の

雇われ人アンドリュー…

ん、ちがうな、アンドレア。

アドリアーナとごっちゃになりそう…

 

「さて今日の作業だが、」

マルクスがテーブルを見渡して

最後にニアのところで視線をとめ

ボーネン」「ボーネンね」

と、ほとんど二人の呟きが重なりました。

 

ボーネン

 

「注意してもらいたいのは、

 品種を混ぜないことだ。」

「ひとつのハウスに4種類のボーネンがある。

 色はそれぞれ緑、黄色、紫。

 緑のものは丸みのあるやつと平べったいやつの2種類。

 くれぐれも収穫の箱を一緒にしないようにな、

 一旦混ざるとあとで仕分けるのが大変なんだ。」

身振り手振りをつけて説明するマルクスのおかげで

ボーネンとはどうやらさやえんどうのことらしい、

と検討がつきました。

 

語学学校では日常会話を習ってきたから

農業系の単語はここで覚えていかないといけないんだ

ドイツの農業文化を記録するためにも

専用のノートを作ろう…

 

ふと気付くと

みんなはほとんど朝食を食べ終えていたので

わたしも慌てて残りをかき込みスプーンを置きます。

 

「それじゃ、今日もよろしく。はじめるぞ!」

とやや生真面目になった顔つきでマルクスが立ち上がります。

「はーい」

みんなもそれに習い、次々とリビングを出て行きます。

 

これ、食べたお皿はどうするんだろう?

 

なんとなく席を立ったわたしが行動を迷っていると

「いいの、ito。今日の片づけ当番はリディアよ。

 そのままにしておいて。

 わたしたちは畑に向かうわよ。」

ウリが気付き指示を出してくれました。

 

 

 

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6/29 天国のような朝ごはん

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天国のような朝ごはん

マルクスとのあいさつが済むと

さっそくウリが朝ごはんの説明をしてくれました。

 

「みんな自分の好きなように作ってるわ。

そこのボウルを手にとって。

そしてあそこの箱の中から好きなフルーツを選んで、

あ、誰かまな板を譲ってあげてちょうだい。

ルーカス、もう終わったわね?

ito、そこを借りなさい。

あとは見よう見真似でオリジナルのボウルを

作ってみるといいわ。

もちろん、食材は全部オーガニックよ。」

 

そう言うと彼女は大きめのスプーンを

これまたスプーンに負けないくらい大きな口へと運び

自分でこしらえた朝ごはんを頬張ります。

 

 

わたしはボウルを手に取り

箱の中からバナナとプルーンを選んで

まな板へと向き直りました。

 

果物を切り終わりテーブルの方へと向くと

「はい、ito。」

と、既に席に着き

朝食を食べ始めていたアドリアーナが

シリアルの入ったボウルを渡してくれます。

「ありがとう。」

ボウルに刺さっていたスプーンで

シリアルを1杯すくい、自分のボウルに入れると

「何味が好き?プレーンかバニラ、豆乳もあるよ。」

とヨーグルトの瓶を指して

ソフィアが微笑んでくれました。

 

「あ、その前にナッツも少し…。」

テーブルに並んだ7種類ほどの木の実に目をやりながら

わたしはわくわくした気持ちでそれらを吟味します。

かぼちゃの種とマカデミアナッツ、

それから半月形のコロンとした大き目のナッツを数個

自分のボウルに入れて

プレーンヨーグルトをかけました。

 

「牛乳は冷蔵庫に入ってるから、

ヨーグルトじゃなくて牛乳って気分のときは

勝手に扉を開けて取り出してね。」

ウリが続けます。

「OK. ありがとう。」

わたしは完成した自分の朝ごはんを手に

キッチン側の端に立って

テーブルを見渡しました。

 

畳み一つ分より少し大きなテーブルの上には

真ん中部分に所狭しとナッツやヨーグルト、

茶色いドイツパンやバターが並び

各辺に沿って各々のボウルとマグカップが並んでいます。

全員で10人か…ビッグファミリーだ…!

 

「ito、こっちに座ればいいよ!」

アドリアーナが元気良く

自分の隣にスペースを作ってくれたので

嬉しくなったわたしはすぐにそこに入り込みました。

 

 

 

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6/29 農場長のマルクス

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農場長のマルクス

ウリの家に着くと、

みんなは自転車をガレージに停め

玄関でワークブーツを脱いで

せかせかと奥に消えていきます。

 

わたしは初めて見るウリの家の

蔦の絡まる淡い黄色い壁に少し見とれてから

玄関に向かいました。

 

土のついたワークブーツ

ずらりと並ぶなか

なんとか自分の場所を確保して

靴を脱ぎ廊下を進みます。

 

リビングルームのドアを開けると

そこはまるで小さなレストランの厨房のように

たくさんの人がそれぞれ無駄のない身のこなしで

自分の朝ごはんをこしらえているところでした。

 

と、

栗色の短髪に少年のような目で

大きな口を少し開き

微笑みをたたえる男性と目が合います。

 

「やーあ、ito。おはよう。

 会えるのを楽しみにしていたよ。」

 

おじいちゃん、と呼ぶには

到底ふさわしくない快活な話しぶりと動作で

彼はわたしの方へ歩み寄り、手を差し出しました。

 

「わたしはマルクス。ここの農場長さ。」

 

 

 

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6/29 はじめての朝、はじめての農作業

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はじめての朝、はじめての農作業

朝6時30分。

昨夜ふくろう農場に到着し、

夜はミヒャエルの旅の話が終わるやいなや

ベッドにばたんきゅーだったわたしは

お風呂に入りたくて恐る恐る起き出しました。

 

3つあるシャワールームのうち

いちばん新しそうなところを選び

ユニットバスの扉にかかっている看板を

”FREE”から”USING”にひっくり返して

シャワーの蛇口を捻ります。

 

お湯が出て一安心。

 

15分ほどで気持ちよくシャワーを済ませると

今日は朝いちで出荷があるらしく

朝ごはんの前にレタスの収穫に向かいました。

 

 

露地にお行儀良く並ぶ

緑や赤紫のみずみずしいあたまたち。

気温の上昇する少し前のこの時間帯には

よりいっそう凛と艶やかな葉が光ります。

 

ざっと見渡して大きいものから順に

その根元に刃を入れ

優しく収穫していきます。

汚れるから、と手渡された軍手は

すぐに朝露で濡れ、

切れ味の良いカッティングナイフで

指を少し切ってしまいました。

 

 

レタス8個いりの箱を12、3用意すると

アドリアーナが「朝ごはーん!」と

呼びにきてくれました。

 

「朝食はウリの家で摂るんだったっけ。」

昨日のニアの言葉を思い出して

一旦自分の生活する家に戻ります。

 

「この自転車なら今誰も使ってないよ。」

わたしは教えられたとおり自転車にまたがり、

みんなのあとに続きました。

 

 

 

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6/28 料理して、プレゼンテーションを聞く夜

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料理して、プレゼンテーションを聞く夜

両手に野菜を抱えた私たちは家に戻り、

ほとんどニアの手によって

30分後には即席のサラダとオムレツが出来上がりました。

「料理するんだねー。」とつぶやくと

「まあね。今のメンバーだと俺が作ることが多いよ。」と

少し誇らしげににやりとする彼。

「でもニアはラマダン中じゃないの?」と、

語学学校のリビアから来た友だちの話を思い出して尋ねると

「はあ?俺はイスラエル人だぜ?」と眉をひそめられました。

日本で友だちをつくるときは47都道府県、

世界で友だちをつくるときは各国の場所を把握しないといけないのか…。

あとでググろ…。

と、イスラエルリビアの位置関係を正確に知ったのはこの後です。

 

 

出来あがった料理をもってリビングの席に着くと、

「あ~これこれ♪やっぱニアのオムレツだね!」とアドリアーナ。

「飲み物いるよね?取ってくるわ。」とルーカス。

わたしが「ミヒャエルは?」とたずねると、

「んー別におなか減ってないんじゃない?」とアドリアーナ。

 

それぞれがそれぞれの思うように動き、

でもなんとなく一体感があるその場の空気に

早くなじみたいな、と嬉しくなりました。

 

 

ミヒャエルはというと

わたしたちが食事を摂り終わったあと

PCを抱えてリビングにあらわれ、

「じゃあ今から僕のこれまでの旅の思い出を紹介するね。」

と写真フォルダを表示してスタンバイ

「あ~言ってたやつね。しゃーねえ、見るか。」

とニアが椅子の向きを変え、自室から出てきたソフィアと

机に座っていたルーカス、アドリアーナが姿勢を正します。

 

旅の説明は主にキューバがメインだったけど、

長距離移動と新しい環境に疲れていたわたしは

まぶたが閉じてしまわないよう必死で聞いていました。

 

ようやく彼の発表が終わると、

「じゃあ寝るね。おやすみ~」とそそくさと自室に戻り

わたしのふくろう農場での1日目は幕を閉じたのでした。

 

 

 

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